Windowsへapacheをインストールする
まず,前準備として,大学の実習マシンにもインストールされている高機能な定番テキストエディタ「秀丸エディタ」をインストールしておこう。「秀丸エディタ」を継続的に利用する場合には,ライセンス料金をはらわなくてはならないが,今回は一時的に試用させていただくだけにする。ダウンロードは,http://www.vector.co.jp/soft/win95/writing/se086280.html から。インストーラプログラム hm319.exe をダウンロードしたら,このインストーラを起動してインストールを開始する。セットアップはすべて「Next」で良い。インストールが完了すると,スタートメニューなどに「秀丸エディタ」が登録される。
- WEBサービスを行うサーバソフトを,webサーバとか,httpサーバと呼ぶ。apacheは,代表的なhttpサーバである。
- apacheは,使用料金を払う必要のないソフトウェアとして,The Apache Software Foundation によって,開発・公開されている。Linuxはもちろん,Windows,MacOS X用も用意されている。
- apacheを入手するために,まずはThe Apache Software Foundationのページ (www.apache.org)へ行ってみよう。The Apache Software Foundationは,様々なソフトウェアを開発・公開している。左上の 「HTTP Server」という項目をクリックすると,apache httpサーバのページへ移動する。apacheをダウンロードするページへは,左上の「Download!」という項目の右下の「from a mirror 」という項目をクリックすると移動できる。
- ダウンロードページの,Win32 Binary (MSI Installer) の右側に,Windows用のapacheインストールパッケージがあるので,リンクをクリックすると,ダウンロードが始まる。執筆時点では,最新版の apache_2.0.49-win32-x86-no_ssl.msi がダウンロードできる。
- ダウンロードして保存する場所は,基本的にどこでもよいが,ここではCドライブ直下に temp というフォルダを作って,その中にダウンロードすることにしよう。
- ダウンロードが終了したら,下図のようにapacheのインストーラーパッケージ apache_2.0.49-win32-x86-no_ssl.msi がちゃんとあるか確認しよう(図では,バージョン番号が2.0.46 になっているが気にしないこと)。

- このインストーラパッケージをダブルクリックして,インストーラーを起動すると,次のようなダイアログウインドウが表示される。

「Next」を選んで次に進む。

これは,使用承諾書である。各種の免責事項などが記載されている。使用するので有れば,「I accept the terms in the license agreement」(私はこの使用承諾書に記載されている内容を受け入れます)を選んで「Next」ボタンで次へ進む。

これは,apacheを動作させる前に読んでおいた方がよい情報が載っている文書である。たいていのソフトには,このように使用前に読んで欲しい文書を用意している。このような文書には,一般に「Read me first」などといったタイトルがついている。今は,とばして「Next」ボタンで先へ進んで良い。

この画面では,サーバの基本情報(ドメイン名,サーバ名,管理者のe-mailアドレス)を入力する。ここでは例として,ドメイン名に edu.tuis.ac.jp を,サーバ名として,コンピュータの名前にドメイン名をつけたもの,管理者のe-mailアドレスに自分のメールアドレスを上図のように指定してみる。入力したら「Next」ボタンで次へ進む。

この画面では,apacheのセットアップを行う方法を選択する。典型的なセットアップをするならば,「Typical」を選び,細かくカスタマイズしてセットアップしたければ,「Custom」を選ぶ。たいていの場合は,「Typical」で十分である。ここでは例として,「Typical」を選び,「Next」ボタンで次へ進む。

ここでは,apacheをインストールするフォルダを選ぶ。何も指定しなければ,Cドライブの「Program Files」フォルダの中に,「Apache Group」というフォルダを作成して,その中にapacheをインストールする。他の場所を選びたければ,右上の「Change」ボタンでインストール先を指定できる。ここでは,場所は「C:\Program Files\Apache Group\」のままにして,「Nest」で先に進む。

これは,インストールするかどうかの最終確認である。「Install」ボタンで,インストールを開始する。

インストール中の画面。進行の度合いを示す「プログレスバー」が伸びていく。途中で「コマンドプロンプト」のウインドウが数度開くが,このウインドウは自動的に閉じるので,ほっておいてよい。

以上で,apacheのインストールが終了した。「Finish」ボタンを押して,インストーラーを終了する。インストールが正常に終了したら,ダウンロードしたインストールパッケージ(この例では,apache_2.0.46-win32-x86-no_src.msi )は,消去してかまわない。
- いよいよapacheの起動であるが,通常はインストールが完了した状態で,すでにapacheは起動している。apacheの起動(Start),停止(Stop),再起動(Restart)は,右下のバーに登録されたツールから制御できる(下図)。

注:左図は,すでにapacheが動作中のために,Startが選べないようにグレイ表示になっている。
- apacheが動作している状態で,Webブラウザで,URLとして, http://127.0.0.1/ もしくは http://localhost/ を指定して,自分のコンピュータで動作しているapacheに接続してみよ。ここで, 127.0.0.1 は,そのコンピュータ自身を意味する特別なIPアドレスで,「ループバックアドレス」と言う。localhostも,そのコンピュータ自身を意味する特別なコンピュータ名である。うまくいくと,Webブラウザが自分のコンピュータで動作しているapacheとの接続に成功して,下図のようなテストページが表示される。

- 上図のテストページは,自分のコンピュータのメインページでもある。場所は,apacheをインストールした,C:\Program Files\Apache Group\ の中の Apache2\htdocs\ フォルダの中にある index.html.ja.iso2022-jp である(内容は,JISコードで書かれている)。このファイルを秀丸エディタで開いて,適当に編集し直し,再びWebブラウザで見て,変更が反映されているかを確認せよ。
- 隣のひとのページを見てみよ。Webブラウザに入力するURLは,http://隣の人のコンピュータのIPアドレス/ である。
- C:\Program Files\Apache Group\Apache2\htdocs フォルダの中身を,index.html.ja.iso2022-jp を残して消去し,index.html.ja.iso2022-jp のファイル名を index.html に変更せよ。こうして,このhttpサーバのサイトを作成していくことになる。
- apacheの動作の細かいカスタマイズは,C:\Program Files\Apache Group\Apache2\conf\httpd.conf ファイルを編集することで行う。confファイルの変更は,apacheを再起動させると反映される。apacheに関する書籍の大部分は,この設定ファイルhttpd.confの設定の仕方についての解説である。本屋などでapacheに関する書籍を探してみること。
- apacheは,コントロールツールで停止(Stop)させても,コンピュータが次回起動したときには,再び自動的に起動してしまう。
- apacheに詳しくないうちは,インターネットに接続した状態でapacheを長時間起動していると危険である。インターネット上にはコンピュータウィルスに感染したコンピュータが多数存在し,その中には,WEBのデータ通信に乗じてhttpサーバを攻撃してくるものもある。実際に,httpサーバを運営していると,10分に1回程度は,ウィルスによるhttpサーバへの攻撃を受ける。
- apacheは,ウィルスに対しても堅牢なソフトウェアであるが,ときおりセキュリティ上の欠陥(セキュリティホール)が見つかることもある。このような,セキュリティホールがあると,ウィルスにコンピュータをのっとられ,ウィルスに感染する危険性が生じる。したがって,httpサーバを運営する管理者は,つねにhttpサーバソフトのセキュリティホール発見の報があるかどうかを日々チェックしなくてはならない。もし,セキュリティホールが見つかった場合は,その欠陥を修正するアップデートがでるはずなので,そのアップデートを適用して,セキュリティホールをすみやかに塞ぐのも,httpサーバ管理者のつとめである。
- したがって,httpサーバを日々管理するほどの立場にないホビーユーザが,apacheを常に起動しておくのはたいへん危険である。そこで,apacheの自動起動を解除しておこう。
- apacheが起動するのは,Windowsが起動するときに自動的に開始されるプログラムとしてapacheが登録されているからである。このように,Windowsの起動時に自動的に開始されるプログラムを,「サービス」と呼ぶ。
- サービスの設定を行うところは,Windowsの種類によっても異なるが,Windows XPであるなら,コントロールパネルの中の「管理ツール」に「サービス」の設定項目があるので,これを開くと,サービスとして登録されているプログラムの一覧が表示される(下図)。Apache2がapacheのことである。Apache2の「スタートアップの種類」が「自動」になっているために,Windowsが起動したときに,apacheも自動的に起動するのである。

ここで,Apache2の項目をダブルクリックすると,下図のようにプロパティが開く。

ここで,上図のように「スタートアップの種類」を「自動」から「手動」に変更して,「OK」を押して変更を確定すれば,次回のWindowsの起動時には,apacheは自動で起動することはなくなる。実際に再起動して,apacheが自動的に起動していないことを確かめよ。逆に,自動起動を有効にしたいなら,今の手順で,「スタートアップの種類」を「自動」にしてやればよい。
- httpサーバの管理は,情報関連の仕事に直結するスキル(技術, skill)の代表格である。関連する参考書は,「勉強しなければならないたいくつな本」ではなく,「イチからやるととんでもなく時間と手間がかかることを効率よく手引きしてくれるノウハウの結晶であり,宝であり,読まなければ損!」と思って欲しい。でなければ,社会で仕事をしていく才覚はない,と思って頂きたい。2年数ヶ月後には就職活動がせまってくる。それまでにスキルを身につける時間は限られている。ぜひ,積極的に自分で学習してみて欲しい。