ここでは,C言語のシステムの全体像を説明します。まずは,実際に実行できるソースプログラムをList 0.1に示します。
なお,C言語のソースプログラムのファイル名についてはANSIの規格では特に定められているわけではありませんが,
伝統的にファイル名の末尾に“.c”という拡張子を用います。ですから,List 0.1のファイル名は“hello.c”となっています
。
List 0.1
#include <stdio.h>
int main( void ) {
printf ("Hello World!\n");
return 0;
}
List 0.1は,C言語の教科書などで“最も単純なC言語プログラム”として伝統的に例にあげられているもので,実行すると
Hello World!
と表示されます。では,最初の行から見ていきましょう。1行目は
#include <stdiio.h>
となっています。
#で始まるこの行は,プリプロセッサ命令というものです。C言語のソースプログラムはコンパイラによってCPUが実行tu
できる機械語に変換されます(“コンパイルされる”,“翻訳される”などとも言う)。実はこのコンパイル作業に先立ち,
プリプロセッサ(preprocessor)というプログラム(またはコンパイラに組み込みの機能)によって,ソースプログラムが
加工されるのです(Fig. 0.29)。

コンパイラはプリプロセッサに加工されたソースプログラム(翻訳単位(translation unit)と呼ばれる)をコンパイルします。
加工屋であるプリプロセッサに加工の指示を出すのが,プリプロセッサ命令です。
ここで,主なプリプロセッサ命令についてまとめておくことにします。