コンピューターリテラシー演習 (1年次前期配当 木曜日1・2限)



UNIXの初歩を学習する
  1. UNIXとは
     UNIXは,1969年に米AT&T社のベル研究所で作成されたオペレーティングシステム(OS)である。最初のバージョンは,ベル研究所の研究員であった Ken Thompson氏 と Dennis Ritchie氏 が開発した。最初のプロトタイプは,Ken Thompson氏 が一人だけでたった一ヶ月間で作成した。その後,ベル研究所で改良が重ねられ,比較的シンプルでありながら強力な機能を持つUNIXは,高い評価を得て,ポピュラーなオペレーティングシステムとして,現在もなお幅広く使用されている。

  2. UNIXの系譜
     その後,UNIXオペレーティングシステム自体は,AT&T社からNovell社へ,そして更にSanta Cruz Operation, Inc. (SCO)へ売却された。"UNIX"という名称も現在は X/Open Company Limited 社の登録商標である。しかし,元のUNIXから枝分かれしたバージョンや,UNIXと互換性のあるオペレーティングシステムが数多く存在する。代表的な物に以下のようなオペレーティングシステムがある。

     ・*BSD系
       ・FreeBSD, NetBSD, OpenBSD (いずれもパソコンで動作し,無償で使用できる)
       ・Darwin (別名MacOS X。Apple社のパソコンMacintoshは,このUNIX互換のオペレーティングシステムで動作している)

     ・Linux系 (多くのパソコンで動作する・無償利用可能。配布も自由なので,配布元ごとに様々な種類のLinuxが流通している)
       ・RedHat Linux (ポピュラーなLinux。情報大のデスクトップパソコンに搭載), Fedora Core (RedHat系Linuxの新しいバージョン),
        Vine Linux (日本語化などに定評がある。2004年度大学推奨ノートPCに搭載),
        Turbo Linux (これも日本語化に定評がある), Knoppix Linux (CDから起動可能なLinux),
        Debian Linux (先進的な機能に定評がある), SUSE Linux (ヨーロッパ圏でポピュラーなLinux) 等

     ・メーカー系
       ・AIX (IBM), Solaris (Sun Microsystems), Darwin (Apple)等

  3. Linuxとは
     Linuxは,UNIXと互換性のあるOSとして,Linus Torvalds氏 を中心に開発されているオペレーティングシステムで,パソコンを始め,様々なコンピュータの上で動作している。Linuxという名称は,Linus Torvalds氏の名前に由来する。Linuxの最初のバージョンは,Linus Torvalds氏が大学院生時代の21歳の時に一人で作成した。他のUNIX互換オペレーティングシステムは,多かれ少なかれ,オリジナルのUNIXのプログラムを含んでいるが,Linuxは,1から新たに書き上げられた(現在UNIXを所有している前述のSCO社は,LinuxにもオリジナルのUNIXのプログラムが部分的に含まれているとして係争中)。
     Linuxは,最初のバージョンが公開されると,多くの有志のプログラマが開発に加わり,無償利用・無償配布可能なUNIXオペレーティングシステムとして,現在は非常に多くのユーザを獲得するまでに成長した。もちろん,現在も開発は鋭意進められている。また,一般的なパソコンだけでなく,Macintoshや,PlayStation2,その他,様々な専用機器を制御するオペレーティングシステムとしても移植されている。

  4. UNIX/Linuxをめぐる現状
     UNIX自体,コンピュータ上でのデータ処理手法やソフトウェア開発手法などの考え方に広く影響を与えてきた。それだけでなく,無償利用が可能で実用上十分な機能を持つFreeBSD/NetBSD/OpenBSD/Linuxなどが登場して以降,UNIX及びその互換OSは,非常にポピュラーなものになった。情報産業で技術者として働くなら,UNIXの知識は必須であると言っても過言ではない。たとえば,以下のようにUNIX関連の専門誌だけを挙げても,かなりの数にのぼる。

     ・UNIX MAGAZINE (アスキー社,月刊誌) UNIX総合誌。
        技術面に強い。ソフトウェア技術者なら毎月読んでいて当たり前。
     ・UNIX USER (ソフトバンク・パブリッシング社,月刊誌)
        UNIX総合誌。技術面に強い。ソフトウェア技術者なら毎月読んでいて当たり前。
     ・Software Design (技術評論社,月刊誌)
        ソフトウェア技術の専門誌。UNIX関連の特集・記事多し。ソフトウェア技術者なら毎月読んでいて当たり前。
     ・Linux Magazine (アスキー社,月刊誌)
        Linux専門誌。
     ・日経Linux (日経BP社,月刊誌)
        Linux専門誌。Linuxをめぐるビジネス面にも強い。
     ・Linux World (IDGジャパン社,月刊誌)
        Linux専門誌。
     ・BSD Magazine (アスキー社,季刊誌)
        *BSD系の専門誌
     ・FreeBSD Expert (技術評論社,ムック)
        FreeBSD専門誌

    また,雑誌だけでなく,Linuxを始めとするUNIX関連の書籍も多い。大きめの書店に寄って,IT(情報技術:Information Technology)関連の雑誌,書籍コーナーを見てみるとよい。このような雑誌や書籍をできるだけ,自分で購入して読むことをお薦めする。なにかしらの専門家になるためには,「最低限ですまそう」としないことが姿勢として重要である。たとえば,大学の授業で指定された教科書だけですませようとせず,専門雑誌や専門書籍を自発的に読むことが大事である。
     このように,UNIX関連の知識は情報技術者を目指すなら,非常に重要なのである。

教材
※ 下記の教材のアーカイブファイル (2004lite.zip for Windows / 2004lite.tar.gz for Linux)
第1回 6/3 1. UNIXの初歩1 (基本コマンドとemacsの基本)
プロンプト, コマンド入力, kterm, emacs, コピー&ペースト
資料
2. UNIXの初歩2 (ファイル操作)
ls, UNIXファイルシステム, 絶対パス, カレントディレクトリ, 相対パス, cd, cwd, cat, mkdir, cp, mv, rm, tree, rmdir
資料
課題:今回学習したコマンドの使い方を,emacsを使って自分でまとめて,提出せよ。大学推奨ノートPC使用者は,こちらを見よ。期日は,来週の水曜日まで。
第2回 6/10 3. UNIXの初歩3 (ファイル操作続き)
more, less, sort, uniq, wc, cut, grep, 文字コードとその変換方法
資料
4. UNIXの初歩4 (リダイレクト&パイプ) 資料

Masanori Ohshiro

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